2022年12月13日、尾道市内の会場にて「児童虐待とDVのつながり・次世代に引き継がないための学習会」を開催しました。
講師(ホッとるーむふくやまスタッフ:杉原 美穂)から、自身の体験からDVと加害者の心理に関心を持ち、キーワードのひとつ「ジェンダー視点」に出会い、次世代にDVを引き継がない対応と、その人らしさを認めることとの関連や矛盾に関心を向けながら学び続けているということが語られました。
まず、「大阪市北区クリニック放火事件(2021年)と附属池田小事件(2021年)の共通点は「ジェンダーと暴力」(暴力による支配を男らしさだと信じる考え方)だ」との、森田ゆりさんによる説が紹介されました。
次いで、書籍『他人を支配したがる人たち』から、マニュピレーター(加害行動をとる人)の実態が、「大阪二児置き去り事件(2010年)」の事例から、虐待の連鎖と、閉鎖的な家族制度の課題が語られました。
そして、書籍『しつけと体罰』より、日本人の75%が体罰は子どものしつけに必要と考えているとの調査結果が紹介され、それに対して、「子どもに痛みや恐怖心を与えてコントロールする方法」である体罰とは異なる、「子どもの自立のためのしつけ」の3要素(①子どもを肯定する ②子どもの自信を育てる ③子どもが自分で選ぶよう援助する)と、「子どもと良い関係を作る10の方法」「体罰に代わる10のしつけの方法」といった具体策が紹介されました。
さらに、大阪府島本第一小学校で実践されているジェンダー教育の取材番組(カンテレ)の動画を鑑賞し、教育現場での可能性を感じることができました。
最後に、社会の中で人と関わり合っていく上で必要なスキルである「ソーシャルスキル(社会技能)」の紹介をとおして、場を読む力・相手の気持ちがわかる力・表現できる力をバランスよく身に着けていくことも、対人関係に暴力を介在させないために効果的であると話されました。
以上のように、これからの子育てや教育、家庭のあり方など、次世代にDVを引き継がないためのヒントがたくさん詰まった、とても充実した学習会でした。
2022年12月
時岡 真子